みなと新聞 朝刊 2019.04.30 掲載記事全文

シングルシードの利点共有 スピード成育と経費減SEAPAジャパンがカキセミナー

 【大阪】カキ養殖用バスケットシステムなどを販売するSEAPAジャパン(大阪市、吉本剛宏社長)は23日、同市内で「シングルシード牡蠣ネットワーク2019 セミナー&交流展示会」を開催した。カキ生産者や研究機関、流通関係者など約90人が参加し、シングルシード養殖に関する経験や知見を共有した。


 セミナーでは生産者や研究機関が、シングルシード養殖に関する取り組みについて講演した。新栄丸(大分県佐伯市)の宮本新一代表社員は養殖マガキの新ブランド「アイランドオイスター」の取り組みを紹介。アイランドオイスターは通常のカキ養殖の育成期間と比べて成育期間が6カ月と短く、雑味がなく甘みが口に広がるのが特徴。宮本代表社員は「シングルシード養殖により経費を抑えることができ、従業員は重労働から解放された」と話した。


 その他、水産研究・教育機構の神山孝史研究推進部長は「宮城県志津川産未産卵一粒牡蠣(あまころ牡蠣):生産技術と特徴」、ファームスズキ(広島県大崎上島町)の鈴木隆社長は「My Oyster Life」、うみの(徳島県美波町)の中村智治社長が「市場価値を変える種苗の品種選択肢の多様化」、水研機構の長谷川夏樹氏は「地場種苗を活かしたシングルシードマガキ養殖」をテーマに、それぞれ講演した。


 講演会後の展示、交流会では小長井町漁協(長崎県諫早市)、片倉商店(宮城県女川町)、新栄丸、津田宇水産(兵庫県たつの市)、宮城県漁協志津川支所(宮城県南三陸町)がシングルシード養殖のカキを披露。協賛企業の展示、相談ブースではうみの、ケアシェル(三重県鳥羽市)、三宝化成工業(大阪府吹田市)、西日本ニチモウ(山口県下関市)、マツイ(東京都港区)が種苗や機器資材を紹介した。 吉本社長は「シングルシード養殖は商品の品質や効率性を向上させ、産業発展に貢献する手法の1つ。これからも同手法に関心を持つ生産者が情報を共有し合える場を提供していく」と語った。

 

※この記事は、2019年4月30日みなと新聞005面掲載されています。