栄養豊かな漁場守る 2021年3月 読売新聞掲載

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栄養豊かな漁場守る

  カキ養殖家
  宮本 新一さん(42)

夏は岩ガキ、冬はマガキ。佐伯湾でカキの養殖を手がけて7年を迎えた。「おいしいカキがとれるのはミネラル豊富な海のおかげ。漁場を守り、後継者を育てたい」と語る。

サザエやナマコを赤潮被害から守るために岩ガキの養殖を始めた。カキの種を付けた貝殻をロープにくくりつけ、海に垂らして育てる手法では、ロープの表面にムラサキガイなどが付き、海もカキも汚れた。

対策のためにカキの稚貝を入れたプラスチック製のバスケットを海面に浮かべる方法を取り入れたのは3年前。波に揺られてカキ同士がぶつかり、殻が削れることで、殻の成長に使われる栄養分が身に集まる。「海も汚れず、半年で出荷サイズに育って驚いた」と振り返る。

漁場は番匠川の水が流れ込む栄養豊かな水域。県外の養殖業者へ足を運び、視察を重ねて自分にあった養殖法を模索してきた。地元の仲間と協議会をつくり、後継者を育てる活動にも取り組む。 

新型コロナウイルスの影響で、飲食店からの注文は減っているが、新たな店との取引も増えてきた。養殖場のある大入島でカキ小屋を計画している。「島で育てたカキは臭みがなく、甘みがある。おいしいと喜んでくれるのが一番の励みになる」と笑顔を見せる。(鶴田日出美)